NEGLIA in Tokyo

やまたつくんのトラブルカルテ

経営、ヘルスケアを中心に人生100年時代の生き方に関する情報を発信&子育てネタも少々。

情動をコントロールするには環境を整えることが唯一無二の解である

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こんにちは、小宮山です。

筆者は家族で毎晩ドラマを見るのがルーチンになっているのですが、今期の月9は突っ込みどころ満載で楽しみにしています。

ラジエーションハウスという放射線技師の物語なんですが、

  • 技師の数が多過ぎ
  • 技師が患者に接して処方を提示する
  • 技師が画像処理ソフトを改造できる。業界用語で言えば、サブルーチンのコードを書ける

ってな感じでして、「おいおい・・・マジかよ」って夫婦で突っ込むのが定番化しています。

まあ、広瀬アリスさんや本田翼さんが出てるのは、とっても高評価なんですけどね。

さて話が脱線してますが、今回のエントリでは、情動をコントロールする方法について解説します。

ラジエーションハウスで使っている画像診断機器の発達により、脳科学領域の進歩が著しいです。

医療系って特殊なんで、なかなかその研究成果が世の中に広まるまでに時間がかかります。

そんな中で、私たちの本能という現象に対する自動対応メカニズムのコントロール方法が明らかになりつつあり、夫婦喧嘩などの揉め事を回避するうえでとても有用なのでご紹介させていただきたいと思います。

脳は2つの意思決定システムをもっている

当たり前のことかもしれませんが、私たちの脳は

  1. 本能という無意識
  2. 理性という意識

の2つの意思決定システムをもっているという仮説に基づくと、多くのことがリーズナブルに説明できます。

例えば、あなたがケーキ屋さんに行ったとしましょう。

ケーキを見たら、「美味しそう・・・」って瞬時に思う自分と「太るから、控えめに」と遅れて思う2つの自分がいるのに気づくはずです。

本能の特徴は、意思決定が極めて速く、自動的に行われる点です。

一方の理性は、意思決定するまでにワンクッション置くので遅く、作動させるのに意思というスイッチが必要なことです。

細かい話をすると、両者をつないでいる脳の領域もあるんですが、グレーなことは簡単に白黒つけられないのと同じで、まだ学者内でコンセンサスが取れていません。

情動を意思で抑えるには訓練が必要

未だに決着はついてませんが、本能に基づく情動は理性でコントロールできるのでしょうか?

筆者の答えは、短期間であれば可能ですが、中長期では負けるというものです。

そもそも本能ってのは哺乳類の前、単細胞生物だったカンブリア紀に培われた代物なので、数百万年という淘汰圧に勝って今ここにあるので、極めて強力であり完成の域にあります。

一方の理性は、サバンナを攻略して人間が社会・都市を作ってから数千年程度しかないので、まだまだ発展途上です。

例えるなら、

  • 本能 = ゾウ
  • 理性 = ゾウ使い

です。

ゾウが暴走したら、ゾウ使いはなす術がなく、振り落とされるのを必死に耐えるだけしかできないだけですよね?

ほとんどの人が経験しているであろうダイエットを思い出してみましょう。

短期なら食欲を我慢できますけど、沸々とストレスはたまっていき、どこかのタイミングで暴飲暴食に走ってしまう経験があるのではないでしょうか?

暴飲暴食の決定をしたときって、「もうどうにでもなれ!」って思ってるはず。

そうなんです。

ゾウという本能の行動をコントロールする、理性のキャパには限界があるんですよ。

キャパを大きくすれば、いいじゃないかって?

確かにマインドフルネスという訓練を行えば、可能です。

ブッダが開発したマインドフルネスは日常動作である

  • 歩く
  • 触れる
  • 呼吸する

などの動作をするたびに「~してる」と認識し続ける作業です。

ただ感じるだけ。

自分の感情を主体者としてではなく、第3者として見るべし。

すると、怖れ・心配・不安・怒りなどの負の感情が心に生まれても、傍観することができる。

これらは、そのうち消えて無くなっていくものだと実感できる。

負の感情への対処は体が自動でやってくれて、ストレスから解放される。

そして、心も冷静に保てるのだ。

ダライ・ラマと並び称される高僧ティク・ナット・ハンが、なぜマインドフルネスを極めようと思ったのかというエピソードをご紹介しましょう。

ティク・ナット・ハンは、頭に血が上ると我を忘れてしまうケースが多く、

  • このままではいつか、人を殺めてしまう
  • 取り返しのつかないことを起こしてしまう

と悩み、自分の怒りという本能を抑え込むために、マインドフルネスに傾倒していったと筆者は伺っています。

「自分の感情を主体者としてではなく、第3者として見るべし」ってのは、言うは易く行うは難しの典型です。

なぜなら私たちの本能に相当する脳幹と理性に相当する大脳新皮質は繋がっているから。

コネクトしているってことは、理性にも本能のバイアスがかかるわけです。

バイアスをゼロにして理性だけで動けるようにするためには、出家して欲を断って何十年という修行が必要になります。

とてもじゃないけど、現実的じゃないですよね?

本能を暴走させない環境セッティングが解決策になる

マインドフルネスの達人も万能ではありません。

天台宗の総本山である比叡山延暦寺において、もっとも厳しい「千日回峰行」という荒行を歴史上最年少で達成したお坊さんと、2017年のマインドフルネス業界の忘年会で飲んだときに伺った点も印象的でした。

千日回峰行って、7年がかりで千日間、計約4万キロも歩くんですよ。

雨の日も嵐の日も、ひたすら夜中に寺を出て、比叡山中を歩き、午前中に寺に戻るってのを繰り返す。

毎日の睡眠時間は三時間しかなくて、台風が来ようが体調が悪かろうが、休むことはできないんですわ。

だって失敗したら「自害する」という掟があるんです。

だから峰行中は首を括るための死出紐と呼ばれる麻紐と、両刃の短剣を常時携行してました。

けれど何とかなるもんです。

自然に囲まれてれば、マインドフルネスで情動を抑えられますから。

けれどねえ・・・私、最近結婚したんですけど、家庭ではムリ(笑)

奥さんがキーキー言ってる、怒ってるときは、どうしても飲まれちゃいます。

自然しか相手がいないなら、自分自身をコントロールするのは容易いんですけどねえ。。

このエピソードで重要なのは、「理性による意志力には、やはり限界があるので、意志力の消耗を可能な限り抑える環境をセットすることが、情動をコントロールするキーである」ってことなんですね。

またまたダイエットの話で、イメージしてみましょう。

ダイエットは独身であれば、やり方さえ間違ってなければ比較的スムーズに達成できます。

一方で家庭をもっていると・・・失敗する確率が増加することがよく知られています。

なぜならダイエットのために食欲と戦っているあなたのすぐ隣で

  • 嫁が毎日、晩酌する。揚げ物を気ままに食べる
  • 子どもがお菓子を食べる
  • お菓子や食料が、ダイニングテーブルの上に置いている

っていう状況と戦い続けなければなりません・・・。

ゾウの食欲を抑える意志力は、徐々にすり減っていき、どこかで爆発して全部オジャンになるので、失敗しやすいんです。

なので本能をコントロールする最善の方法は、それに適した環境セッティングです。

日本の会社は、未だに「心頭滅却すれば火もまた涼し」ってことで、マインドフルネスのように理性を訓練すれば本能はコントロール「し続けられる」と思ってます。

けれど欧米は脳科学のエビデンスをもとに、職場環境のセッティングにこだわり、パフォーマンスを上げる策に舵を切っている状況です。

どちらが合理的なのかは、火を見るよりも明らかなので、自分の振る舞いを改善したいと思ってる方は、環境構築にパワーを注ぐことをお勧めします。

手っ取り早いし、確実ですから。

それでは、今日のまとめです。

  • 私たちの脳は本能という無意識、理性という意識の2つの意思決定システムをもっている。本能は意思決定が極めて速く、自動的。理性は遅く、スイッチ的。
  • 理性が本能に勝てる時間には限りがある。マインドフルネスをもってしても・・・である
  • 本能を暴走させない環境セッティングこそが、コスパが良くて確実な解決策である。心頭滅却すれば火もまた涼しは非効率。

では、また明日。

Ciao~。

意思決定の心理学 脳とこころの傾向と対策 (講談社選書メチエ)

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