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やまたつくんのトラブルカルテ

アラサー男子がトラブル解決策についてまとめるブログ

事業が再生するときの王道パターンを解説します

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こんにちは、小宮山です。

最近のはなしですが、大田区の製造業の中小企業連合が力を合わせて、ジャマイカのボブスレー・チームにソリを提供して世界大会に勝つというプロジェクトが進んでいるそうです。

役所と広告代理店がお涙ちょうだいの感動ストーリーを仕立てあげて、オールジャパンで進めていました。

下町ロケットならぬ下町ボブスレーです。

ところがこのプロジェクト、性能的な評価が得られないので、ソチと平昌の2度のオリンピックで、日本代表チームから採用を見送られました。

そこでジャマイカ代表に無償でソリを提供することにしたとのこと。

自国で採用されないほど低性能なソリを、強豪国とはいえない国に「有名チームがオリンピックに採用した」という実績を作るために、無償で押し付けたようにも見えます。

そして昨年12月のワールドカップでジャマイカチームは、かつてラトビアの代表選手だった職人が作っているソリを使うことにしました。

なぜなら日本のソリとは比べ物にならないぐらい高性能で安いから。

当然の選択なんですが、なんと我らがオールジャパンのほうは

「うちのできの悪いソリを使わないんだったら違約金を払え、ゴルァ!」

ということになり、泥仕合になっております。

おまけに下町ボブスレー

  • 政府の補助金も
  • 広告もなしで

真摯にソリを作っていた町工場のソリを採用したドイツ人コーチをジャマイカに圧力かけてクビにしたようです。。。

日本のその辺にいそうな人が実は優れた職人で、彼らの仕事が世界の誰にも負けない何かを生み出して世界で活躍する・・・みたいな絵面が下町ロケットなのにとんでもない話です。

今日のエントリでは、事業が再生するときの王道パターンを解説します。

下町ロケットのような企業再生って、昭和のおじさんたちは大・大・大好きです。

彼らのプライドをくすぐるからです。

メーカーにいると

  • 性能が良ければ勝手に売れるのだから、モノづくりに集中すべきという昭和のおじさんたち
  • きちんとマーケティングして、ブランド価値をお客さんにきちんと届けることに集中すべきという平成の若者たち

がバチバチやってるのをよく見ます。

  • おじさんたちもホントは分かってるんでしょうけど、ノスタルジーに浸って足元すくわれないように
  • 若者は若者で、美味しいそうなだけで身のない話に引っかからないように

下町ロケットのような企業再生の王道パターンは知っておくべきでしょう。

残りモノには福があるケース

落ち目になって瀕死になっている企業の中には、外から経営者なりがやってきてV字回復するときもあります。

ファンダメンタルズもしくは本質的価値があるからです。

「企業価値に対して株価が割安である」

ってことです。

みなさん、セールに行くとごくたまに

「なんでこんなに良いモノが、こんな安値で売られてるの?」

ってことに出くわした経験はありませんか?

ミスプライスが起こる原因は

「売ってる・作ってる側自身が、本質的な価値をきちんと把握していない」

からです。

だから買いたたかれるんですね。

筆者の友達の時計商なんて、1000万のパテック・フィリップという超高級時計が田舎の質屋で30万で売られているのを見つけてました。

お父さんが亡くなって、家族が売りにきたそうですが、その家族も質屋も本質的な価値がわかってませんでした。

筆者の親戚に今治タオルの生産者がいて、下町ロケットのような企業再生の様子を真横で見てきました。

今治タオルのファンダメンタルズは

  1. 安全
  2. 安心
  3. 高品質

でした。

この3点は他では真似ができないレベルなのですが

  • 今治タオルメーカーでは当たり前のことだった
  • デフレで安いことが正しいことになって、低価格の輸入タオルに翻弄された

ので、売ってる・作ってる側自身が、本質的な価値をきちんと把握できなくなってしまったんです。

ですがこの手の話って、実際はきわめてレアなんですよ。

熱狂的なファンの重要性

もう1つ大きな問題があります。

それは

「本質的価値をどうやって伝えるか?」

です。

いわゆるマーケティングってやつですね。

価値があっても、きちんと受け手に伝わらなければ意味ないですから。

伝えるという作業は、それを全く知らない人へのプレゼンテーションです。

つまりコミュニケーションですから、「シンプルイズベスト」です。

たとえば美味しいワインをプレゼンするとして、あなたならどうしますか?

「好みは人それぞれだし・・・」

って思って、あれこれと細かいうんちくを説明しちゃうのではないでしょうか?

ですがそうすると、全く知らない人には伝わりません。

分かりにくいからです。

言いたいことが山ほどある中で、何が本質的価値なのかを絞り、シンプルで分かりにくい形にする。

そして価値に熱狂してくれるファンを「日本でダメならほかの国で」獲得します。

価値を広めるためには、そもそも

「流行らせたいモノの価値を、すでに信じている人 = 熱狂的なファン」

がいる必要があります。

感情でしか人は動きません。

感情がなんで生まれるかというと

  • 私を気持ちよくさせてくれる
  • 私を気持ちわるくしない

しかありません。

「おもしろい」

っていう感情をとある人々に喚起させることがスタート。

そこから先は、

  1. ファンどうしの交流を強める
  2. ファンの中でのローカルルールを設定する
  3. ファンどうしで、どれだけルールに沿えたかを競い合わせることでコミュニティを強化する
  4. コミュニティに入ってない人たちと出会う頻度を高めていく

というのが価値を広める方法です。

今治タオルの場合はデフレで安いことが正しいことになっている日本ではなく、安全・安心・高品質を求める北欧で熱狂的なファンを獲得し、南欧、中国そして日本という順番で広げていきました。

天才マーケターの糸井重里さんも、こう言っています。

職人として広告を作る側としてではなくて、

企業を運営してゆく視点から見ると、

コマーシャルって、
あんなにお金を使っても、

「あるイメージに出会う頻度を高める」
というだけなんですよね、せいぜい。

そこに、信頼はないんです。
コマーシャルの結果とは、
高められた頻度のぶん、
その情報が、
それぞれ「すでに信じている人」だとか、

「熱狂的なファン」に行き渡るということで。
だから、「すでに信じている」とか、

「熱狂的なファンがいる」という状態がないと、

コマーシャルをやること自体が、
意味がなくなる。

含み損状態に耐えきれるか?

日本の100年近く生き残っている伝統産業には、ファンダメンタルズが高いのにミスプライスされている事例がまだまだあります。

バブルがはじけ、輸入品が急増して価格破壊が起こっても

「いい素材を使い良質の商品をつくって高く売る」

という姿勢をかたくなに貫いていて、規模は小さくても熱狂してくれるファンがいるからです。

株であろうがどんな事業でもそうですが、ものごとを広めるっていうのには、やっぱり時間がかかります。

いつ花開くか・利が爆上げするかなんて、誰にも分かりません。

ファンダメンタルズが高いのにミスプライスされているモノに投資することを、バリュー投資といいます。

バリュー投資は

「今はめちゃくちゃ安いが、今後は伸びていく」

と予想して半永久保有するスタイルです。

逆張りです。

  • 短期では景気などの経済動向に振り回されて損することが多いし
  • 周りが儲かってるときに、すぐには利が乗らないモノに投資する

んですから、精神的にはキツイです。

ですが筆者の親戚にである今治タオルの生産者は、爆上げするまで耐えきりました。

爆上げしたときには、とある織り方ができる技術をもっているのは親戚の会社だけ。

他はすべて撤退していました。

大手も急いで追撃しようとするも、追いつかない。

なぜなら後発が先発を抜くためには、大量の軍資金が必要になります。

乗り換えてもらうには

  • コマーシャルにかかるお金
  • 圧倒的な安全・安心・高品質

などを達成しなくてはならないですが、タオル市場の残りの伸びしろを考えると、おいそれと大金は投資できない。

なので未だに親戚の一社独占が続いて、ウハウハです。

ですが爆上げするまでの生活は、困窮をきわめていました。

爆上げにかかった時間はおよそ「20年」です。

20年ですよ?

「最後まで生き残ったやつだけが勝てる。続けられるかが勝負だ」

とはその親戚の言葉です。

事業再生も、株への投資とおなじく含み損に耐えられる確固とした信念が必要です。

楽して簡単に儲けられる方法は、ありません。

それでは本日のまとめです。

  • 落ち目になって瀕死になっている企業の中には、なんでこんなに良いモノが、こんな安値で売られてるケースが「たまに」ある。売ってる・作ってる側自身が、本質的な価値をきちんと把握していないのが原因。
  • からです。
  • 本質的価値を伝えるには、シンプルイズベスト。熱狂的なファンを作れれば、価値を広めることができる。
  • 事業再生も、株への投資とおなじく長期の含み損に耐えられる「確固とした」信念が必要。楽して簡単に儲けられる方法は、ありません。

今治タオルの奇跡の復活は、バリィさんによる偶然のブーストも重なった結果なんですよね。

では、また明日。

Ciao~。

今治タオル 奇跡の復活 起死回生のブランド戦略

今治タオル 奇跡の復活 起死回生のブランド戦略